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子規の居た場所 [学術系(学問・文学etc)]

「病床六尺、これが我が世界である。しかもこの六尺の病床が
余には広すぎるのである。」

こんな書き出しから始まる有名な『病牀六尺』。
俳人である正岡子規の四大随筆の一つです。
『病牀六尺』は、この四大随筆の中でも、
新聞「日本」に一番最後に連載された作品でした。
高浜虚子による口述筆記にて、死の数日前まで記されました。

僕はこの作品がすごく好きなのですが、
「いつかこの世界を自分も体感してみたい」
と思っていました。
先日、ようやくその多いを叶えてきました。
根岸にある子規庵を訪れてきました。
子規はここで数年間病床に臥せながら創作活動を行い、
息を引き取ったのでした。
子規の部屋.jpg
じっと佇んでいると、子規の息遣いが聞こえてきそうです。

この日はとても静かで穏やかな時間が流れていました。
ちょうど三月の春めいた陽気だったからでしょうか…?
不思議なほど心穏やかになり、ゆっくりと時が流れていました。

子規庵門構え.jpg
もともとの家は震災で焼けてしまったので、
現在の家屋は復元したものですが、
当時の風情はしっかり再現されています。
そして何よりも、この場所は変わりません。

根岸の町並みの中に、子規庵はひっそりと佇んでいます。
最寄り駅はJR鶯谷駅です。駅から歩いて10分かかりません。
それでも驚くほど閑静です。

子規仰臥の写真.jpg
子規はこんな感じで過ごしていました。
最後の方は起き上がることもままならなかったでしょう。
若くして結核を患い、その後に脊椎カリエスにまで悪化し、
激痛の中で日々を過ごしていました。

子規終焉の間.jpg
子規の世界がこの部屋の中に広がっています。
喜怒哀楽などと簡単には語れないほどの感情や思いを携えて、
彼はここで生きていたのです。

子規の机.jpg
部屋には彼が使っていた机が残されていました。
真ん中左側が四角く切り取られています。
これは子規が大工さんに頼んで開けてもらったものです。
ここに、立膝した左足を入れて、体を固定させて、
作品を書いたのでした。

うまく言葉になりません…。
胸が熱くなりますね。
…とても感慨深い気持ちになりました。
 
子規庵の庭.jpg
僕が訪れたときには、子規が記したへちまはありませんでしたが、
春を告げる菜の花が力強く花開いていました。
子規庵はとっても素敵な場所で、心地よい場所でした。
そのうちにまたふらっと訪れてみようと思います。

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